歯根端切除術

投稿日:2016年12月19日

カテゴリ:根管治療

歯の神経を取った歯の根の先端に膿が溜まってしまい再治療になるケースがよくある、理由は根管充填時に無菌的な操作が行われていないか、被せ物の合着や接着の不良によるマイクロリーケージから、根尖に毛細管現象で細菌が運ばれて起こったり、歯根破折からのリーケージによるものがほとんどである。

長期にわたって放置すると、どんどん膿は大きくなり根尖のみならず、根尖周囲にまで膿が進行していくと、なかなか除菌がうまくいかず難治性の病変に移行してしまう。

このような場合、根尖の感染している部分を外科的に切除して、根尖方向からMTAセメントを充填することにより治癒する。

歯根端切除術自体は、何十年も前から術式としては存在していたものの、術後の経過は不良なケースが多かったが、90年代の前半からアメリカではその予後の成績を上げるために、医療用の顕微鏡を用いて根尖の側枝や感染部分を精密に削除して、かつ根尖方向から特殊な超音波チップを用いて正確に窩洞を形成して封鎖性の良いセメントを詰めることで、その予後は飛躍的に伸びた。

日本では94年に東京医科歯科大学でこの術式を取り入れ始めた。

当時、私は歯科医一年目でこの術式を井澤先生よりとても詳細に教えて頂き、その術式の素晴らしさに感動したことを、今でも鮮明に思い出す。

94年当時から比べると、顕微鏡のライトはLEDになり更に明るくなり、今まで見えなかった像が見えるようになり、歯根破折の発見制度は上がった。周辺機器、器具、機材の進歩発展も目覚ましく顕微鏡を用いた歯根端切除術の成功率は98から99パーセント近くに上っている。

 

 

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